「休息」を語る、一夜限りのスナックで見つけ出した編集部の答え。
ことなるわたしたち
今年の1月から始まった特集「わたしと『休息』の設計図」。「月曜、朝のさかだち」と「ことなるわたしたち」では、さまざまな人たちのまなざしを通して、3ヶ月にわたり「休む」という行為を見つめてきました。その締めくくりとして、読者のみなさんをお招きして開いたのが、「スナックそのまま(仮)」の一夜です。改めて、休むこと、そして、休まらないこと、について語り合った夜。私たちが直面している”休息”。そこで聞こえてきた声を受けて、編集部・神谷と高橋の感想をお届けします。

真面目さと、休みにくさと
神谷 _「みなさん、とても真面目だという印象を受けました。完璧主義に近いような、きちんとしていたい気持ちがあって、誰かに期待されたらそれに応えたい。優しさゆえに頑張りすぎてしまったり、いろいろなものを背負いすぎてしまったりするところに、共通する節がありましたね。 」

高橋 _「私がいたグループでは、話し合いのテーマカードを見たときに「これはだいぶ深い話になりそうだな」と感じていました。けれど実際には、「前は悩んでいたけれど、今は別の楽しみを見つけて切り替えられるようになった」「いい意味で、自分なりのバランスを保てるようになってきた」といった声が多くて、私よりずっと上手に消化している方が多いな、という印象でしたね。特に印象的だったのは、ご結婚されてから15年近く経ってもなお、毎週末「夫の顔を見られるだけで幸せ」と話されていた方がいて、休日を心から楽しんでいる様子が伝わってきて、本当に羨ましいなあと思いました(笑)。 」

神谷 _「私の席では、みなさんが自己紹介をしながら、悩みを吐き出していくような雰囲気でした。その多くが仕事の話で、“頼まれたことを断れずに引き受けすぎて、子育てもあるなかでパンクしてしまった”とか、“評価されないんじゃないかと不安になったり、できない人だと思われたくなくて、自分で自分にプレッシャーをかけてしまう”といった声があって。この特集で取材した、組織開発コンサルタント・勅使川原真衣さんのインタビュー(→記事を読む)を思い出しました。休みにくさを抱えてしまう背景には、組織の構造の問題もあると指摘されていて、ご本人もその構造ゆえにプレッシャーを感じていた時期があったそうなんです。誰しも、そうした状況に陥ることはあるのだと思います。今回はひとつの答えや正解にたどり着かなくても良いとしていたので、無理に“ちょうどいい塩梅”の結論を出すというより、ひたすら話を聞いていく時間になりました。」
なにもしない時間を、楽しみきれない

高橋 _「理想の休日について話しているとき、“なにもしない時間を楽しみきれない”という話題になりました。その話を聞きながら、私自身も“休みきれないまま終わってしまう休日”があるので、自分だけじゃないんだと少し安心したんですよね。なんとなく落ち着かないまま週末が終わってしまうことに、みなさんもどこか共通するものを抱えているんだなと感じました。 」

神谷 _「どうしてもSNSを見て、誰かと自分を比べてしまう、という話も出ました。自分と相手を比べる材料になる情報があまりに多くて、しんどくなってしまうことは、私にも心当たりがあります。だからこそ、あえてその情報に触れない時間をつくることも、“休まる”ためのひとつの手段なのかもしれないな、と感じました。責任感が強すぎるというか、真面目さと地続きの話かもしれませんが、“自分が選んだこと、自分が言ったことには言い訳できない”と考えてしまう方も多かったです。 」
高橋 _「もちろん、無責任になればいいという話ではないと思います。一度口にしたことを簡単に取り消すのは良くないかもしれないけれど、それでも“選択肢を増やす”という意味で、上書きしたり、状況に合わせて変更したりする余白があってもいいのではないか、と私は思います。」

オフラインになることが、休息かもしれない
神谷 _「今回この特集を組んでみて、私たちはどうしてこんなにも“何かを充実させなきゃ”と思い込んでしまうのだろう、と改めて感じました。取材を始める前は、休息とは“何かを投げ出すこと”“何もしないこと”“解放されること”だと捉えていたのですが、このテーマで5本の企画を進めるなかで、今の時代において“オフラインになること”や“完璧じゃなくてもいいと思えるスタンス”が休息と深く結びついているのではないかと思うようになりました。
スマホを触らない時間や、通知に惑わされない時間をいかにつくるか。完全なオフラインの時間を持つことについて話されていた小島聖さんの言葉(→記事を読む)からも、それを強く感じましたし、中村暁野さんの周りのために完璧を選ぶのではなく自分を第一に考える時間を作ることもいい休息へと繋がるような気がします。(→記事を読む)
それは、誰かと比較しないで、純粋に何かを楽しんだり、自分だけの世界に没頭したり、自分の感情だけにフォーカスしていくことで、自然と休まる時間が生まれてくるのかもしれません。今回、参加してくださった方の多くは真面目で優しくて、周囲が頼ってくれることにちゃんと応えたいという思いを持っていました。その気持ちはとても素敵だけど、それが自分を疲れさせてしまったり、張りつめてしまったりするのであれば、もうちょっと緩めてあげてもいいんだと思います。
非常停止ボタンを押すような、絶対に休息をとらざるを得ない状況に陥らないよう、他人だけでなく自分にも優しく、無理なく生きていくということも、うまく休むことと同じくらい大切に感じました。 」

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Photo Cosmo Yamaguchi / Text&Edit Chie Kono / Produce Ryo Muramatsu