2026.6.3

サウナコミュニケーションで気づいた、本当の自分 清水みさと×山瀬まゆみ

PROJECT

ことなるわたしたち

山瀬まゆみ Mayumi Yamase

今年から3ヶ月ごとの特集を持って新たなスタートを切った「ことなるわたしたち」。今回は“大人の『ともだち』”をテーマに、ファシリテーター・山瀬まゆみが、人との繋がりについて話を伺っていきます。 ゲストは清水みさとさん。無類のサウナ好きで、趣味の域を超え、雑誌「TRANSIT」では各国のサウナ旅を紹介するサウナ本を刊行。1冊まるまる責任編集を行うなど、サウナを通して活躍の幅をどんどん広げています。そんな清水さんに、サウナを通して教わった、人とのコミュニケーションについて伺いました。

裸の付き合い、サウナの付き合い。それは年齢や性別の枠を超えた。

山瀬まゆみ(以下、山瀬)_サウナって裸の付き合いになるじゃないですか。結構コミュニケーションが活性化されたりするものなんですか?

清水みさと(以下清水) _それは本当にあると思います。服を着てないのもあるけど、距離感が物理的に近くなるので、仲良くなりやすいですね。元々、人脈を広げようと思ってサウナを好きになったわけではないんですけど、サウナ関係での出会いが本当に増えて、年齢や職業、性別に関わらない友達が本当に増えました。

山瀬 _おいくつぐらいから、サウナに通い出したんですか?

清水_大学一年生の時です。食べるの大好きで、我慢せずに食べていたら太り出してしまって。運動しなきゃと思って、フィットネスジムに通うようになったんです。通い出したジムにサウナがついていて、運動した後にお風呂とセットで入るようになったんです。当時はサウナに若い人なんて全然いなくて、60~70代の女性たちがほとんどで。でも彼女たちがいつも楽しそうに話しているんですよ。常連さんっていうんですかね。多分元々知り合いではなくて、そこで出会ったみたいな感じの人たちの集まりって感じで。最初はちょっと怖かったけど、挨拶して、話しかけてみたら、逆に色々話しかけてきてくれるようになって。

清水_ すごい私も楽しくなって。おばちゃんたちの話を聞いてるだけでも楽しいんですよ。なんというか、会話がいい意味ですごい大雑把で、適当というか。みんなですごい真面目な話してても、サウナだから、途中で誰か水風呂に出ちゃっていなくなったり、また戻ってきたおばちゃんが、普通にその会話に途中からスンと入ってきたりして。旦那さんの悪口とかも笑い合いながら喋りあったりしていて。コミュニケーションってこんなに気を遣わないでいいんだって、初めて気づかされたのがこの時で。おばちゃんたちに会うためにサウナに入って。ついでに運動もできるからスッキリして。人との関わり方に対しての意識が変わったのもこのタイミングでしたね。なんにも気にしない、でも楽しい、心地いいという居心地を知りました。

ひとり行動が好きだった学生時代。程よい付き合い方がわからなかった時代。

山瀬_ それまでは、人との関わり方ってどうだったんですか?

清水_すごい仲いい人が数人、深く狭くというほうがいいという人もいるじゃないですか。私は昔からそうでもないというか、友人関係も広く浅くというタイプでした。人と交わるのは結構好きなんですけど、深い悩み相談とか受けてしまっても、どうしたらいいのかわからなくて。そういう話が得意な方じゃないんですね。もちろん話は聞くんですけど、なんというか、軽く生きていきたいという感覚の方が強い。かといって、あえて人との交わりを自分から積極的に広げていこうとするタイプでもなくて。ひとり旅も気負いなく行ってしまうし。ひとりで行動することに全く抵抗がないというか、むしろひとりで行動することは昔から好きで。青春18切符でふらっとどこか行ってみるとかもよくありました。大人になって、サウナを好きになったことがきっかけとなり、ひとりで海外にサウナ旅に行くことも増えました。海外では日本と違って男女でも裸でサウナに入ることも多いし。そこで知らない人の中へ飛び込んでいくことも結構ありました。

山瀬_ そうすると、サウナを通した関わり方が、すごく性にあったんじゃないですか?

清水_そうなんですよ。程よい付き合い方ができるというか。人とのつながりを広げようとしてるつもりはなくて、サウナという箱にたまたま集まった人たちで、たまたま人脈が広がっていくという感じで。その、人間関係の浅い、深いに良いも悪いもないなって思うようになって。浅くても、大事と思える関係性になれるって実感しました。

君子淡交、その言葉が自分の人との関わり方を見出させてくれた。

山瀬_確かに、浅い関係というと、悪い意味にとらわれてしまいがちですよね。広く浅い関係性で人間関係を築いているというと、この人、人間味のない人なのかと思われてしまいそうです。

清水_私もそんな気持ちにならなかったわけではないんですが、以前、知り合いから、すごい良い言葉をいただけて、すんなりきたことがあって。“みさとちゃんって、君子淡交(※)だよね”って。深いだけが良いことではなくて、程よい浅さと、軽さという部分があるから、いろんな人に紹介したくなるって言われて。こうやって大人になって、学生時代と比べたら人とのつながりが広がってきた時に、こういう性格って悪いことじゃないのかなって思うようになれました。

※君子の交わりは淡きこと水のごとし

山瀬_ 実は私もそっちのタイプです(笑)。もちろん、浅い友達付き合いしかしないというわけではなくて。そこまで関わり方が深刻な関係ではないというか。話す内容も、仲良い友達でもすごくカジュアルな内容が多いんですよね。むしろ、その方が友達付き合いは楽しいじゃないですか。深刻な悩みがあった場合は夫や姉に相談するタイプです。

清水_わかります。そもそも深刻になる機会があんまりないというか。そういう楽しさを教えてくれたのはサウナの、そのおばちゃんたちとの関わり方が大きかったかなと思います。それまでは、意外と気を遣ってしまいがちの性格で、相手がちゃんと話してきたら、ちゃんと聞かなきゃ、ちゃんと答えなきゃって。いい返事をしなきゃと思っていたから、人付き合いが下手くそだったんじゃないかなと振り返ることがあります。会話の中の余白というか、沈黙とかもすごく怖くて。学生の頃は転々と引越しをしていた家だったので、中学、高校、大学と都度新しい環境になる時は、いつもヘラヘラはしていて(笑)。みんな初めましての友達だったから、ヘラヘラはしてたけど、すごく気を遣っていたんだなと感じます。だから、ひとりの方が楽と思って、ひとりで行動することも多かったんだろうなって、今となっては思います。でも、サウナのおばちゃんたちと出会ったら、本当に、いい意味で、人とのコミュニケーションは適当で良かったんだって気づかされて。それから、自分の性格に合った“付き合い方”がわかってきた気がするんです。

――後編に続く


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Profile

清水みさと Misato Shimizu

大のサウナ好きで、大学生の時から毎日のようにサウナに通い続けている。「サウナイキタイ」ポスターモデルはじめ、サウナに関するラジオ・連載・イベント等、多方面で活躍中。2022年には、サバンナ・高橋茂雄さんと〝サウナ婚〟を発表。

山瀬まゆみ Mayumi Yamase

1986年東京都生まれ。幼少期をアメリカで過ごし、高校卒業と同時に渡英。ロンドン芸術大学、チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ&デザインにてファインアート学科を専攻。現在は東京を拠点に活動する。抽象的なペインティングとソフトスカルプチャーを主に、相対するリアリティ (肉体)と目に見えないファンタジーや想像をコンセプトに制作する。これまでに、東京、ロンドン、シンガポールでの展示、またコム・デ・ギャルソンのアート制作、NIKEとコラボレーション靴を発表するなど、さまざまな企業との取り組みも行っている。

Photo Mai Kise / Text Chie Kono / Edit Ryo Muramatsu

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