2025.12.22

ホットサンドを作る朝 haru.×三宅香帆【前編】

PROJECT

月曜、朝のさかだち

 haru.

『月曜、朝のさかだち』シーズン2、第16回目のゲストは文芸評論家の三宅香帆さんをゲストにお迎えしています。 今回の朝活は、手作りホットサンドに挑戦しました。スタッフが準備した様々な材料の中から、自由に組み合わせを考えて4種類のホットサンドを作ることに。普段あまり料理をしないという二人は、恐る恐るスタート。「甘いサンドと、しょっぱいサンドを作りましょう」というharu.さんの提案のもと、以下の組み合わせが決まりました。

①千切りキャベツ、コンビーフ、チーズ、カラムーチョ
②栗きんとん(栗の甘露煮、スイートポテト)
③納豆、キーマカレー、千切りキャベツ
④チーズ、コンビーフ、りんご、ハチミツ

二人とも「ホットサンドメーカーを使うのは子どもの頃ぶり」と、久しぶりのホットサンドメーカーに終始不安気な眼差しを向けながらも、スタッフによる補助を受けながら着々とホットサンドを焼き上げていきます。 「断面を見てほしい!」と、ホットサンドの綺麗な断面に興奮する三宅さんに、「なんでも一個目がうまくいくな…」とharu.さん。

「耳の食感がカリカリしてていいですね」、「きっとお店だとふわふわにされて出てくるんだろうな」と、手作りだからこそ出せる食感を楽しむ二人。 ④のホットサンドに対しては、意外な組み合わせに期待を寄せつつも、いざ食べてみると「着てる服は個性的なのに、実際は記憶に全然残らない人みたい」。

③のホットサンドには「個性派アーティストが、アニメのタイアップをして大衆向けになってしまった感じ」と、ホットサンドを擬人化させる三宅さん。haru.さんもその例えに共感しながら、すべて美味しく召し上がりました。

朝活を終えた二人は、朝活を振り返りながら、思い出に残っている食事シーンが描かれた物語、二人が辿ったインターネット、SNS文化、三宅さんが文芸評論家になったきっかけ、発信者の“態度”の重要性についてお話しいただきました。

本編へ進む前に、まずは視聴者さん、読者さんから集めた「ゲストに聞いてみたいこと」にお答えいただきました。今後も『月曜、朝のさかだち』に遊びに来てくれるゲストのみなさんに聞いてみたいことを募集しているので、ぜひORBIS ISのSNSをチェックしてみてくださいね!

三宅香帆さんに聞きたいコト



Q.「何かを伝える」時、いつも気をつけていることはありますか?

A.だれ相手に伝えたいのかを意識すること。

Q.来年から大学院に進学します。病まない方法を教えてください!ストレス発散方法等。。

A.食べるものに気をつけてください! 食堂を使ったりして、栄養バランスに気をつけてほしいです。コンビニばかり使わないようにね! 応援してます!

Q.1日の必ずするルーティンありますか?

A.湯船につかる!

 

思い出に残る作品のなかで描かれる食事

haru._三宅さんとの出会いは、もともと私のパートナーと三宅さんが一緒にお仕事をしていて、繋がりがあって、三宅さんの宣材写真をHUG*①でディレクションと撮影をさせてもらったことがきっかけなんですよね。

三宅香帆(以下:三宅)_ 撮っていただいた写真が私の周りで本当に大好評で。「誰にディレクションしてもらったんですか?」っていろんな人に言っていただくんです。その度に、「haru.さんのPodcastいいので聞いてください」っていう話をしたりしています。最新刊の『考察する若者たち』っていう本の帯にも使わせていただいているんですけど、この写真のおかげでおしゃれな帯になりました。

haru._これめっちゃ嬉しかったです。本をめくったら、miya(本記事の撮影担当)のクレジットも入っていて感動しました。

三宅_そうなんですよ。皆さん帯をしっかり見てください。

haru._アーティストの宣材写真をディレクションすることはあるんですけど、文芸評論家の方の宣材写真ってどんなものがいいんだろうってすごく考えました。自分のなかでは新しい課題でした。

三宅_確かに、作家さんでも日常で撮った写真を宣材写真に使っている人も多いので、プロフィール写真をどうするかについては書き手界隈でもよく話しています。それもあって、「三宅のプロフィール写真はすごくいいけど、誰がやってくれたんだ」っていう話を書き手仲間としていました。

haru._勝手に型があるのかなと思っていたんですけど、評論家はその型のなかで独自の視点を持つ仕事なのかなと思って、ディレクションをしました。スタイリングも、シャツってすごくベーシックなアイテムだけど、ネイビーと淡いブルーのバイカラーのシャツ、そこにパールのネックレスに蝶のビーズを用いて、奥行きを感じさせる人物像にできたら、三宅さんの新しい魅力が伝わるかもと思っていました。

三宅_確かに、服ってメッセージが意外とあるから難しいですよね。奥行きを出すこともできるし、型にはめることもできる。

haru._めっちゃありますよね。自分が何を着たらいいかはあまりわかっていないんですけど、人の服を考えるのは超好きなんです。

三宅_それってどういうところから考えるんですか?

haru._まずはその人が動いているところから見るかも。あとは職業とか。

三宅_動いているのは雰囲気を見ているんですか?

haru._雰囲気もそうですし、静止画を見て「この人はこの服が似合いそう」と思っても、動いている姿を見ると、違うなって思ったりするんです。

三宅_おもしろい。文芸評論家っていう仕事も、作品から書き手の核はどこかを考えたりするので、服のディレクションもすごくおもしろい側面があるなと思いました。その人の核を服で表現するのと文章にするのとでは少し違うんですけどね。

haru._でもちょっと似てるのかな。

三宅_私もそう思いました。

haru._ミュージシャンのビジュアルディレクションをするときは特に、そのアーティストの今を一番最初に解釈する人みたいな立ち位置にいるなと思います。

三宅_そうですよね。書評や批評を書くときも、伝わっていないその作品の本当の核を言葉にすることができたらいいなと思っているので、確かに近いのかも。

haru._今まで文芸評論家の人が身近じゃなさすぎて。

三宅_レアポケモンすぎる職業なので(笑)。

haru._きっとリスナーの方の周りにもあまりいないのかなと思うのですが、そもそも文芸評論家とはどういうお仕事なのか教えてください。

三宅_エンターテインメントやフィクションの批評とかを解説することで、世の中に問い投げかけ屋みたいな気持ちで私はやっているんです。アジェンダ設定をするみたいな。本を通して、議論の叩き台になればいいなと思っています。エンタメや物語って、作家さんが「今の時代ってこうだよね」「今、こういうことを考えてる人がいるよね」といったことを物語というかたちで取り出してきたものだと思うんです。でも、その物語だけだとメッセージやテーマが伝わりきらなかったりする。それを言葉にして世の中にもう少しわかりやすいかたちで投げかける感じなのかなと思っています。

haru._私は文芸評論家がどんな仕事なのかわからなすぎて調べたんです。そこには「文芸評論家は、忙しい人のために代わりに本を読んで読書感想文を書くプロです」って書いてあって、あんまりピンと来てなかったので、三宅さんに聞こうと思っていました(笑)。 まず、朝活について話したいんですけど、今日はホットサンドのアレンジレシピを探りましたね。

三宅_楽しかった…!

haru._どうしてこの朝活をしたいと思ったんですか?

三宅_物語にトーストってよく出てくるんです。『天空の城ラピュタ』*②にも目玉焼きを乗せたトーストが出てきたり、私が好きな『きのう、何食べた?』*③という漫画にも、お正月に食べきれなかった栗きんとんを乗せて食べるレシピがあって、いつかやってみたいと思っていたんです。

haru._私はあまりドラマを観ないんですけど、最近『じゃあ、あんたが作ってみろよ』*④っていうTBSのドラマにハマっていて。そこに、トーストに納豆とチーズを乗せるレシピが出てきて、美味しそうと思っていたんです。なので、今回は物語にちなんだトーストを作ってみようということでいろいろと試しました。

三宅_いろんなバリエーションを試して、どのレシピが一番しっくりくるかを検証していましたね。

haru._そしたらホットサンドに人格みたいなものが浮き上がってきましたね(笑)。

三宅_それぞれのパーツはいいはずなのに、なんか印象に残らないなみたいな。

haru._スライスしたりんごとコンビーフとチーズとハチミツと、一個ずつ見たらめっちゃおしゃれなパーツが揃ったはずなのに、一口食べた瞬間、顔を見合わせましたよね。

三宅_何回会っても覚えられない人みたいな味がしました(笑)。

haru._味がぼんやりしてたんですよね。私はぼんやりした味は嫌いじゃなくて、台湾に行ったときも、全部の料理がぼんやりしてるなと思ってたんですけど、それが好きなんですよ。でも、今日のホットサンドはあんまりでしたね。

三宅_もう一手何が足りないのかも話しましたよね。シナモンとかがあると、りんごが際立つのでは?って。意外とそういうものが食材を繋いでくれていたんだなって気づきましたね。

haru._三宅さんは普段あまり料理はされないんですか?

三宅_全くしないんですよ。

haru._私もしないので、緊張感なくやれました(笑)。

三宅_私もホットサンドを作ると聞いて、ガチな料理ポッドキャストだったらどうしようって思っていました(笑)。でも楽しくやれて嬉しかったです。

haru._そもそも、私は食事に超興味があるわけじゃなくて。でも、これは本当に残念なことだなって自分に対して思うんです。人と食べることは好きなんですけど、何か物語きっかけでしか興味を持てないんです。

三宅_何か思い出の物語はありますか?

haru._中学生頃に観た『かもめ食堂』でおにぎりやシナモンロールが出てきたのを覚えています。

三宅_わかる!あのシナモンロール食べたくなりますよね。

haru._それは自分で作ってみたりしたんですけど、物語がないと自分で作りたいとも思えないんです。

三宅_私は手先が不器用っていうのが、料理をしない大きな理由の一つなんです。「ここまで手間かけなくてもよくない?」っていう気持ちになって、一人でいるときはずっと鍋をしてます。それでも全然美味しいと感じられるんだよなって思っています。 でも、栗きんとんを挟んだホットサンドを食べたときに、「バターが欲しかった」っていう話をしたんですけど、そういえば原作ではバターを塗っていた気がするなと思い出したんです。

haru._そういうちょっとしたことが料理の技術な気がします。

三宅_ありそう。ここは手を抜かないみたいなのがわかったら、料理の達人な気がする。

haru._三宅さんは思い出のご飯物語ってありますか?

三宅_『ガラスの仮面』*⑤っていう漫画がすごく好きで、主人公のマヤちゃんがめっちゃでかい大福みたいなものをボフッと食べて、練習に励むシーンがあるんですけど、あのでかい大福はなんだったんだとすごく気になっていて(笑)。長い間疑問を抱きながら生きてきたんですけど、ある日、安野モヨコ*⑥先生の食べ物に関して書いたエッセイ集を読んでいたら、安野先生も全く同じように「あの饅頭はなんなんだ」と書いていて、みんなそう思っていたんだって思ったことがあります(笑)。

クリエイティブに根ざされたインターネット文化

haru._三宅さんは11月17日に新刊『考察する若者たち』を出されましたね。おめでとうございます。すごくおもしろい本でした。今の若い人たちが、感情よりも正解を求めてしまうというのがめっちゃ腑に落ちました。

三宅_読んでくださってありがとうございます。

haru._ずっとSNSをやってきて、だんだんコンテンツの周り方や受け取られ方が変わってきていて、でもそれはプラットフォームが変わってきているから仕方ないと思っていたんですけど、そこにはどんな背景があるのかを言語化してくれていて、すごく腑に落ちました。

三宅_その変化を、それこそ正解っぽく受け止められるようになったなという感じですか?

haru._前までは超どうでもいいことをみんな書いていて、そこに「わかる」みたいにコメント上で話すみたいな感じだったと思うんです。それを知らない人ともやってる感じがあったんですけど、そういうコミュニケーションはほとんどなくなっているなと。

三宅_SNSも最適解を発信する場みたいになってますよね。昔はたくさんのいろんな意見が聞ける場所だったのに、少しずつ、「こういうのがおすすめされやすい、フォローされやすい」みたいな方に寄っていってしまうのが悲しいと思って書いた本なんです。 私はインターネットが結構好きで。それはやっぱり「いろんな人の感想が読めたり、いろんな人の声が聞けるところなんだよな」というのを思いながら書きました。

haru._SNSやインターネットを好きになった入り口はなんでしたか?

三宅_SNS以前だと、私は「JUGEMブログ」というブログサイトで中学生ぐらいの頃に匿名で読書ブログをやっていたんです。それが一番最初のネット発信でした。

haru._三宅さんは1994年生まれで、私は1995年生まれなので、インターネットとの関わり方も結構同じなのかなって思います。

三宅_一番最初は何でしたか?

haru._一番最初は「ハンゲーム」*⑧かな。あとはチャットをやっていました。

三宅_チャットやってました!

haru._すごく器用なクラスメイトが、可愛いアイコンを作る職人みたいなのをやっていて、掲示板で依頼を受けて作ったりしてました。

三宅_いたいた!職人の子ね!

haru._どういうアバターがいいかを聞くんですよね。それをアイコンにして知らない人と喋るんです。なんていうサイトか全く忘れちゃったんですけど、チャットサイトを通じて知らない人と話すっていうことをしていました。

三宅_私も発信ではないものでいったら、一番最初は掲示板サイトでしたね。そこからコンテンツを見て感想を読むということをインターネットで覚えて。オタクだったので、二次創作を見たりしていた10代でした。SNSが入ってきたのも、そもそも大学からだったんですよね。そこで実名とアカウントが初めて結びつく感じでした。

haru._確かに、昔はアイコンネームみたいな感じでしたよね。

三宅_そうそう。でも、大学生頃から、Twitterは大学の友達と繋がるみたいな感じになっていって、そこからいわゆるSNSに触れるようになっていきました。

haru._私は高校生のときにharu.っていう名前でブログを始めて、そこから変えられなくなっちゃったんですよ。本名にした方がいいのかなって思ったこともあるんですけど、そのまま変えられずにここまで来てしまった(笑)。

三宅_そうなんだ!

haru._haruにドットつけちゃったりして(笑)。

三宅_でもわかります。ドットってインターネット感ありますよね。

haru._だからか、若干の実態の伴わなさみたいなものはずっと自分にあるんです。それは名前のせいだと思うんですけどね。三宅さんは三宅香帆で全部やられていますか?

三宅_そうですね。

haru._そしたら、自分でしかないっていう感じじゃないですか?

三宅_でも、ずっとインターネットでも、友達と交流する分には鍵をかけていたので、ハンドルネームでやるものっていう感じがしてたんです。でも、文芸評論家になったきっかけは、書店でバイトをしていたときに、その書店のブログをアルバイトの人が更新する文化があって。私が書いたある記事がすごくバズったことがあったんです。それを見た出版社さんから、「本にしませんか?」と連絡を受けて本を出した感じなんですよ。アルバイトって本名でやるじゃないですか?だからそのままうっかり本名で本を出してしまったという感じなんです。アルバイトでペンネームとかつけないじゃないですか(笑)。

haru._最近はコンビニバイトとかで偽名を使えたりしますけど、当時はなかったですよね。

三宅_そうなんです。haru.さんはインターネットでずっとやってきた名前という感じがあるんですか?雑誌をリアルで作るようになっても、その頃からの延長という感じがあるんですか?

haru._めちゃめちゃありますね。ブロガーをめっちゃ引っ張ってる感じ。

三宅_でもわかる!同じ世代のこういう活動をしてる方を見ると、根っこにインターネットがあるなって思うんです。

haru._そう思います。当時って、「Itガール」*⑩がすごく流行っていて、どの媒体でもItガールたちがブログをやってる時代だったんですよね。

三宅_ブログ・雑誌文化みたいなものは、同世代で活動している人を見ていると、人を通して脈々と残っているんだなって思います。

haru._Itガールって、いかに自分らしい発信をできるかっていうのがポイントだったんです。海外だと、アレクサ・チャン*(11)が、Itガールの元祖。

三宅_久しぶりに思い出しました(笑)!

haru._最近また人気で、活躍されるようになって嬉しいんです。そのノリでずっと来てるから、三宅さんの本を読んだときに、今はみんな深掘っていくというよりも、提示された正解を選択することが求められているんだなと思って、自分は対局のことをずっとしているなと思ったんです。そしたら、どうしたらいいんだろうって考えてしまって、三宅さんに相談しようと思っていました(笑)。

三宅_今の話すごくおもしろいです。確かに、Itガール文化もそうだけど、ディグればディグるだけ個性的で、深堀りがあればあるほどいいっていうセンスも文化としてあったのが、今って界隈でおすすめされる発信がいいとか、こういう人がちゃんと見るって分かる確実性がある方がいいみたいな、独自性の考え方が変わってきているなと思います。

haru._だから、界隈を飛び越えたキュレーションが求められていない感じがあります。

三宅_それは活動していて思いますか?

haru._たぶん、わかりづらいと思われているんだろうなという体感はあります。

三宅_なるほど。例えば私だと、YouTubeをやっているんですけど、読書チャンネルだから、読書のことだけを動画にした方がYouTubeからおすすめされる感じはあって。でも、読書動画だけだと自分がやっている意味とは?みたいな気持ちにもなったりするんです。でも、見てくれている人たちが何を求めているかとかもあるから、難しいんですよね。

haru._私はたぶん、正解をちゃんと受け取れる土壌みたいなものがなさすぎて、発信をするうえで、そもそも正解を提示するということが選択肢になかったのかなと思います。「みんなと同じにできる」ことが生きやすさだとしたら、それがずっとできないまま大人になってきてるなと。保育園生の頃から集団生活ができなかったんです。お遊戯もお昼寝も、みんなでプールとかも意味わからない。なんでも先生に「なんで?」って聞くような子だったから、そもそも正解を提示するコンテンツの作り方がわからないんです。だから、今の時代にどうやって生きていけばいいんだろうと思ったりします。

三宅_でも、逆に今の時代だからharu.さんの発信を見て、めっちゃいいって思う人が増えてる感じがありませんか?「そっちでいいんだ」って思う人がいるから雑誌が買われているんだろうなと思いますし、インディペンデントなものの意味って結局そこにある気がします。要は、大手メディアが界隈に特化しなくちゃいけないから、個人でやっている方は、そうじゃないもののほうが求められるみたいな。

haru._そう思います。でも、私って超わかりづらいと思うんです。コンテンツそのものではなく、「自分はこれに興味があります。ただ、他の人はどうか知りません!」っていう態度を見せることでしかないように思っていて。だからこそ、感想も言いづらいっていうこともありそうだなって思います。みんながおもしろがってくれているのは、私の態度なんだろうなって。

三宅_確かに、コンテンツと態度ってちょっと違うレイヤーのものですよね。でも、態度はSNSがあることによって、より見せやすくなりましたよね。感想は欲しいと思うんですか?

haru._感想よりも、「自分もやってみました!」っていう声を聞くのが一番嬉しいですね。

三宅_でもそれって態度から感染してくるものな気もします。でも、今まで考えたことなかったんですけど、界隈化して「こういう界隈の人はこういうコンテンツ」ってどんどん決められてる時代って、逆にそれをどういう態度で出すかみたいなところの方がむしろ大事になってくるのかもってめっちゃなるほどって今なりました。要は、同じものを発信していても届きやすさや誰に届くかって、発信する人の態度次第な気がするなって思いました。

対談は後編に続きます。後編では、雑誌・本が持つそれぞれの役割、プラットフォームごとに異なる言葉との距離感、年齢や経験とともに変化する自分というキャラクター、コンテンツ制作時に葛藤する“有益さ”についてなど、盛りだくさんにお話しいただきました。
そちらも是非楽しみにしていてくださいね。
それでは今週も、いってらっしゃい。

*①*HUG
パーソナリティのharu.さんと撮影を担当するmiyaさんが創設したクリエイティブスタジオ

*②『天空の城ラピュタ』
1986年に公開されたスタジオジブリの名作。空に浮かぶ伝説の島ラピュタを巡り、少女シータと少年パズーが冒険に挑む物語。

*③『きのう、何食べた?』(よしながふみ作)
料理好きな弁護士・筧史朗と、美容師のパートナー・矢吹賢二の同居生活を、四季折々の家庭料理とともに描く漫画。西島秀俊と内野聖陽が主演を務めたドラマ版・映画版も大ヒットしている。

*④『じゃあ、あんたが作ってみろよ』
2025年10月期TBS火曜ドラマ。料理をめぐる価値観が衝突し別れた山岸鮎美(夏帆)と海老原勝男(竹内涼真)が、出会いを経て自分らしさを取り戻していくロマンコメディ。原作は谷口菜津子。

*⑤『ガラスの仮面』(美内すずえ作)
演劇にすべてを捧げる天才少女・北島マヤが、宿命のライバル姫川亜弓とともに“幻の名作・紅天女”の主演を目指す物語。

*⑥安野モヨコ
漫画家。『ハッピー・マニア』『さくらん』『働きマン』など、女性の葛藤や欲望、強さをリアルかつスタイリッシュに描く作風が特徴。

*⑦ハンゲーム
株式会社NHN JAPANが運営するオンラインゲームポータルサイト。アバターを使った交流や、麻雀・パズル・育成ゲームなど多彩なタイトルをブラウザ上で楽しめるのが特徴で、日本のネット文化を代表するサービスのひとつ。

*⑧*Itガール
時代のムードを体現し、ファッションやライフスタイルで大きな影響力を持つ女性のこと。SNSやメディアで注目を集め、トレンドを自然に生み出す存在として、カルチャーや若者文化を牽引するアイコン的存在。

*⑨アレクサ・チャン
イギリス出身のモデル・ファッショニスタ。個性的で抜け感のあるブリティッシュスタイルが支持され、世界的な“ITガール”の象徴として活躍。デザイナーや番組司会など多彩な分野で影響力を持つ。

この記事への感想・コメントは、ぜひこちらからご記入ください。編集部一同、お待ちしています!

Profile

三宅香帆

文芸評論家。1994年高知県生まれ。京都大学人間・環境学研究科博士前期課程修了。天狼院書店京都支店長、リクルート社を経て独立。小説や古典文学やエンタメなど幅広い分野で、批評や解説を手がける。著書『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』『「好き」を言語化する技術』『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』『考察する若者たち』等多数。

photography: miya(HUG) / text: kotetsu nakazato

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